第三回七間町寄席「三笑亭夢丸・可風いとこ会」。
「いとこ」のおふたりがどういうつながりであるか、そしてこのおふたりに出演をお願いしたきっかけをご紹介します。
まずは、こちらの「八代目三笑亭可楽一門図」をごらんください。
二代目三笑亭夢丸師匠の師匠は初代三笑亭夢丸師匠(故人)。可風師匠の師匠は九代目三笑亭可楽師匠。
九代目可楽師匠と、初代夢丸師匠は、三笑亭夢楽師匠(故人)の弟子。
そういうわけで、二代目夢丸師匠と可風師匠は、三笑亭夢楽師匠を通じて、いとこ弟子の関係になります。
三笑亭夢楽師匠(大正14年~平成17年)は、七間町寄席の前身・駿府寄席のまた前身・しずおか寄席と深いつながりを持った方でした。
しずおか寄席は昭和49年から平成18年まで、旧静岡市で197回開かれた落語会です。
代表は朝倉敏雄さん(昭和12年~平成18年)。朝倉さんが浅草芸人になろうとして果たせなかった夢を地元静岡での落語会開催への情熱に変え、親類だった夢楽師匠の応援のもと噺家とのつながりを深め、落語会の開催を続けました。
しずおか寄席のネタ帖は残っていないのですが、一部記録が残されている中に、初代三笑亭夢丸師匠が出演した回があります。第189回、平成16年5月15日、静岡市民文化会館中ホールでの公演です。(掲載されたのは「文化のひろば No.14」(静岡市文化団体連合会発行、H17年4月発行)
他の出演者は春風亭朝之助さん(現:六代目春風亭柳朝師匠)・林家たい平師匠・初代古今亭志ん五師匠(故人)・漫談のローカル岡先生(故人)・そして初代三笑亭夢丸師匠。演目は夢丸新江戸噺(注1)から「えんぜる」でした。
そこで、今回は、初代夢丸師匠の弟子である二代目夢丸師匠に、同じ夢丸新江戸噺の口演をお願いして「蛙の子」を演じていただけることになりました。
夢楽師匠が亡くなった翌年に朝倉さんが亡くなり、しずおか寄席が終了したのち、大多和通夫代表のもと、しずおか寄席のメンバーが新たに立ち上げたのが駿府寄席です(平成19年10月~平成29年6月)。
駿府寄席が終了後、メンバー有志とお声掛けくださった方々とで、平成30年4月にスタートしたのが七間町寄席になります。
静岡の落語会の歴史を思いながら、今の若手落語家の勢いのある芸を楽しむ、そんなわくわくするような会にしたいと考えています。
ご来場、お待ちしております!
(注1)夢丸新江戸噺:初代三笑亭夢丸師匠が江戸を舞台にした古典題材の落語台本を一般公募、優秀作を口演したもの。
その演目は、初代夢丸一門を中心とした落語家に受け継がれて口演されています。